シロのブログ

普段仕事で扱う医療・福祉制度の情報からあまり関係のない気になっていることや悩みについてなど適当に発信していきます。

介護保険ってどんなもの?〜概要や申請、利用手順など解説〜

はじめに・・・

介護保険について調べようと思われる方は、今現在利用したいと思われている方であったり、学生の方など資格を取る為に勉強されている方が調べられるのかと思います。なるべく介護保険について分かりやすくまとめていきますので、お付き合いください。 

 

 【目次】 

 介護保険とは・・・

 

 2000(平成12)年に施行された介護保険法を根拠とする社会保険制度の中の1つです(表1参照)。社会保険制度についてはまた別途記事を作成いたしますが、簡単に言えば、国民が何かしらの困りごとを抱えた際に保障してくれる国が運営する保険です。

 [表1 社会保険]

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上記の表から介護保険の場合、「国民の困りごと = 介護が必要」

この「介護が必要」という困りごとを解決する為に介護保険を利用することで、ヘルパーなどの介護サービスや介護施設への入所が1割~3割負担といった費用負担で安く利用することができるようになる制度となっています。

 

介護保険によって利用できるサービスについて・・・

 介護保険サービスは大別すると、①居宅サービス、②施設サービスの2つに分けられます。また、「①居宅サービス」も”訪問サービス”、”通所サービス”、”宿泊サービス”の3つに分けられるようになっています(表2参照)。

[表2 介護保険サービス種類]

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※上記のサービス以外に福祉用具車いす、介護用ベッド等)のレンタル・購入費用の助成・住宅改修費の助成があります。 

 

では、具体的なサービスについてみていきます。

【居宅サービス】

 ①訪問介護ホームヘルプサービス)   

ヘルパーに自宅を訪問してもらい、介護や家事のお手伝いなど援助を受けられます。

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②訪問入浴介護

自宅に浴槽を持ち込み、看護師・介護士から入浴の介助を受けられます。

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 ③訪問リハビリテーション

リハビリの専門職であるPT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)に自宅を訪問してもらい、自宅でリハビリを受けることができます。

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④居宅療養管理指導

医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士などに訪問してもらい、お薬の飲み方や食事を摂る際の注意点、自宅療養する際のアドバイスを受けることができます。

いわゆる、お医者さんがご自宅に来てくれる訪問診療がこのサービスにあたります。

訪問看護

看護師に自宅を訪問してもらい点滴や注射などの医療行為をしてもらうことができます。また別途加算というかたちで費用負担がありますが、24時間電話相談や時間帯問わず訪問を依頼することもできます。

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通所介護(デイサービス)

通所介護を行う施設へ送迎の車にて通い、介護や食事、入浴、レクリエーションなどが日帰りで受けられます。

概ね7~8時間/日程度の利用が可能で、施設によっては3~4時間対応など利用時間の調節も可能でもあります。

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⑦通所リハビリテーションデイケア

介護老人保健施設や病院、診療所などリハビリの専門職であるPT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)がいる施設へ上記のデイサービスと同じ要領で通い、主にリハビリをメインで受けることができます。

デイサービスとの違いは、デイサービスがレクリエーションをメイン。デイケアリがリハビリをメインとし、それ以外は食事、入浴などの介護は同様に受けることができます。

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⑧短期入所生活介護ショートステイ

デイサービスが日帰りだったのに対し、ショートステイ介護施設へ短期間入所し、食事や入浴などの介護を受けることができます。

⑨短期入所療養介護(医療型ショートステイ

通常ショートステイ時に利用される施設は特別養護老人ホームなど医師の常駐しない施設に入所しますが、医療型ショートステイの場合は介護老人保健施設や介護医療院など医師が常駐する介護施設へ短期間入所し、介護だけでなく痰の吸引などの医療処置も受けることができます。

つまり、

介護がメインの方 ⇒ ショートステイ

介護だけでなく医療処置もある方 ⇒ 医療型ショートステイ

といったように利用者の状況により短期入所先を選定する必要があります。

【施設サービス】

介護老人福祉施設特別養護老人ホーム

要介護3以上(後ほど説明する介護度)で常時の介護を要する方が申し込みし、入所枠が空けば終の棲家として、最期まで過ごすことができる介護施設です。

しかし他の施設に比べ、比較的安価なため、待機者が多くいます。その為、待機期間は年単位に及ぶこともあります。

ちなみに、呼び方が2つあるのは根拠とする法律の違いがある為です。

・介護老人保健施設(法律:介護保険法)

特別養護老人ホーム(法律:老人福祉法)

②介護老人保健施設

病状が安定しているが、リハビリを行って体力回復が必要な方を対象に概ね3カ月間の入所期限を基に介護・リハビリ・看護を提供、自宅復帰を目指す介護施設です。上記の特別養護老人ホームとは違い医師・看護師・リハビリ専門職などが常駐しています。

介護療養型医療施設

簡単に言えば、イメージとしては介護保険で入院する病院です。現在は介護報酬の改定で新しく作ることができず、最終的には令和6年3月末に廃止が予定されている施設です。

④介護医療院

上記の介護療養型医療施設の転換先として平成30年に新設された介護施設です。こちらも介護が必要な方が介護保険を使用して入院する病院といったイメージの方が想像しやすいかと思います。

以上が介護保険により利用できるサービスの概略になります、施設などの利用方法、費用負担などはまた別の記事で触れていきたいと思います。

 

介護保険の利用ができる人(対象者)はどんな人?・・・

 介護保険が利用可能な方は2通りあります。

①65歳以上・・・制限がなく、どなたでも利用が可能です。

②40歳~64歳の方・・・特定の疾患がある方のみが利用可能です。

65歳以上の方については深く考えなくても良いのですが、②40歳~64歳の方が利用する場合は利用を検討されてい方のご病気の確認が必要になります。

ではなぜ?このように違いが生まれるのかについて説明します。

介護保険は通常の保険と同じように、保険者(市区町村)がいて保険料を納める被保険者(国民)が加入している保険です。加入は40歳以上の国民が対象になっています。その為、40歳の誕生日を迎えると介護保険へ加入することになり、保険料の納付も始まります。通常は介護保険の目的として、高齢になった際に必要になる介護という問題に備える為、必要な介護を安価な費用で受けることを前提にして準備されている保険です。

ここで定義される高齢とは65歳以上を指し、65歳以上且つ介護が必要な方がまず対象になります。しかし、保険料を納め始めるのは40歳からであり、40歳~64歳の方であっても何かしらの病気により介護が必要になる方も当然いらっしゃいます。そうした方が介護を必要とした場合、保険料納めているのにも関わらず、高齢ではないので介護保険を利用できないといった話になってしまいます。そうならない為に一定の要件を設けて利用できるようにしているのが特定の病気を抱える40歳~64歳の方といった定義になっています。

つまり介護保険の利用が可能な方は以下の通りです。

①第1号被保険者(65歳以上の方)

②第2号被保険者(40~64歳且つ特定の疾患を抱えている方)

(第2号被保険者の特定の疾患=該当疾病)

 ●関節リウマチ ●筋萎縮性側索硬化症 ●後縦靭帯骨化症

 ●骨折を伴う骨粗鬆症 ●初老期における認知症

 ●進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病

 ●脊髄小脳変性症 ●脊柱管狭窄症 ●早老症 ●多系統萎縮症

 ●糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症

 ●脳血管疾患 ●閉塞性動脈硬化症 ●慢性閉塞性肺疾患

 ●両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 上記の状態ある且つそれぞれ定義された症状の度合い(基準)があり、それに該当して初めて、利用が可能になります。詳しい基準については、また別の記事で触れていきます。

 

介護保険の申請~利用手順は・・・ 

◇申請方法

 1.窓口:”市区町村の介護保険課”又は

      ”担当地区の地域包括支援センター

 2.申請手順:

  手順①窓口へ行き、申請用紙を記入する

     必要な物:65歳以上の方・・・介護保険証(なくても可能)

          40~64歳の方・・・健康保険証

     申請用紙の記入:

(申請者の氏名・対象者の氏名・かかりつけ医の医療機関名及び氏名・認定調査の立ち合いの有無・調査時に立ち会う方の連絡先など記入事項があります。)

  手順②認定調査を受ける

(役所の介護保険課の方等が調査員として対象者の方の現在の状態を確認する為に、自宅又は病院・施設へ訪問調査を行います。)

  手順③主治医意見書を提出

(直接対象者・申請者には関係がありませんが、介護保険の利用にあたりかかりつのお医者さんから現在の病状や動作能力・制限などを記入する書類の提出が必要になります。かかりつけのお医者さんに予め介護保険利用の為の書類作成のお願いはしておいた方が良いです。)

  手順④介護保険の結果を待つ

介護保険の結果は、”手順②認定調査”と”手順③主治医意見書”の2つがそろってから役所内で行われる”審査会”という介護保険の結果を決める会議が開かれます。その結果が郵送で自宅のポストへ届く流れになっています。)

 

上記の手順を踏んでいくために、申請から結果が自宅に届くまでで、概ね1カ月程度の時間がかかります。

 

◇利用開始までの流れ

上述の申請が済むと介護保険被保険者証が自宅ポストと投函されます。

その結果に基づき、手続きを踏むことで前項で説明した介護保険サービスを利用することができます。

 

1.結果について

介護保険は要介護度といった結果がつき、それに基づきサービス利用料が決められます。

要介護度は以下の通りです。下に進むほど、介護を要する状態が重くなります。

非該当・・・介護を受ける必要はないと判断された区分

      この区分では介護保険サービスは利用できません。

要支援1・・・ご自身である程度のことはできるが、第三者の見守りが必要な程度

要支援2・・・身の回りのことは可能であるが、荷物を持ってもらうなど体の動作以外で介助が必要な程度

要介護1・・・要支援2に近い状態ではあるが、さらに物忘れなど認知機能にわずかに困難がみられる程度

要介護2・・・身の回りの食事や排せつ、歩行などに介助が必要な程度

要介護3・・・車いすを利用するなど介助者がいても自身での歩行が困難な程度

要介護4・・・要介護3に近い状態で、物事に対する理解が低下している程度

要介護5・・・ベッド上から離れることができず、物事を理解する力も極端に低下し、何かをすること・決めることのすべてに介助を要する程度

 

上記の介護度の結果をもってサービスを利用していきます。

しかし、サービスを利用する為にまだ段階があります。

2.利用までの手順

 手順①ケアプランの作成

介護保険サービスを利用するためには、いつ?どんなサービスを利用するかの計画を立てる必要があります。その計画を立てて初めて介護保険サービスが利用可能になります。その計画(ケアプラン)を立てる為には・・・)

 手順②担当ケアマネージャーを決める

(ケアプランを立てることができる方のことを”ケアマネージャー”と言います。ケアマネージャーは申請者のお知り合いの方にいらっしゃれば、その方にお願いしても良いです。しかし、多くの方が心当たりがないと思われるので、役所の窓口や最寄りの地域包括支援センターにケアマネージャーの紹介・案内をしてもらうことをお勧めします。)

 手順③担当ケアマネージャーとケアプランを考える

 手順④ケアプランに沿った介護保険サービス利用を開始する

上記の手順で、介護保険サービスの利用が開始されます。

 

 

まとめ

今回は介護保険に関する説明を簡易的に行いました。聞きなれない用語など多く、分かりづらいと思われますので、今後の修正・別記事作成などを行い、分かりやすい内容を作成出来るように心がけていきます。

介護保険自治体によっても対応が異なっている等、一概に申請や利用までの流れが一緒とは言い切れない部分があります。

分からないことがあれば、積極的に自治体の介護保険課へ問い合わせの連絡又はホームページをご覧になることが良いと思います。

一人ひとり、介護保険について調べ、利用したいと思う人の理由や立場は異なると思うので、ご自分に合ったものが見つかるよう今後も情報を発信して参りますので、よろしくお願いします。

長々と記載した為、まとまりがなくなっていると思いますが、ここまでお読みくださりありがとうございました。