シロのブログ

普段仕事で扱う医療・福祉制度の情報からあまり関係のない気になっていることや悩みについてなど適当に発信していきます。

医療機関の種類とは?〜病院・診療所、クリニック、医院の違い、病床機能・役割分担について〜

はじめに

みなさんは具合が悪くなれば、お近くの医療機関に受診されることがあるかと思います。

では、医療機関と言っても病院や診療所には何の違いがあるのか?今回はその点を見ていきます。

 

《目次》

 

病院と診療所の違いは?

この2つの施設の違いは、医療法で規定されています。

簡単に言えば、以下の通りです。

○病院とは・・・

20床以上の入院ベッドを有する医療機関のことを指します。

○診療所とは・・・

入院ベッドを持たないor19床以下の入院ベッドを有する医療機関を指します。

上記のように入院可能なベッド数によって名称が異なります。診療所だからと言って、入院ができないわけではなく、入院ができる診療所もあります。

まぁ、入院ベッドがある診療所は少ないですが...

ちなみに、19床未満の入院ベッドを有する診療所を"有床診療所"

入院ベッドを持たない診療所を"無床診療所"と定義されています。

 

 

診療所と医院、クリニックに違いはあるのか?

前項で、病院と診療所の違いは法律で規定されていることは分かりましたが、よく"○○診療所"や"○○クリニック"、"○○医院"と言ったお住まいの馴染みの医療機関を見かけることがあると思いますが、それには違いがあるのか?について触れていきます。

 

まず前提として、また医療法上ではありますが、病院も診療所も"紛らわしい名称を用いてはならない"と規定されています。

つまり、病院は診療所と名乗ってはいけないし、診療所も病院とは名乗っていけないと言うことです。

 

上述の前提から結論を述べると、ベッドの数以外での違いはありません。

"○○診療所"や"○○クリニック"、"○○医院"と言った名称であっても、ベッドの数が20床を越えれば"病院"になります。しかし、診療所だけは病院規模のベッド数を持てば"診療所"と名乗ることはできず、"病院"に改称する必要がでてきます(紛らわしい名称を使用してはならない為)。

イメージ的に上述の3つは診療所のイメージがある方が多いと思いますが、名称だけで判別することはできません。

例えば、"順天堂大学医学部附属順天堂医院"は"医院"と言った名称を使用しているけれど、1000床を超えるベッド数を有する大病院です。このことから、名称に限らずベッド数に応じて、病院なのか?診療所なのか?が分けられていることが分かるかと思います。

では、"診療所"、"クリニック"、"医院"と言ったようになぜ名称が複数存在するのか?それは、各々の言葉の語源を調べる必要があります。今回はそれぞれの言葉の語源については割愛します。

 

入院ベッドの役割分担について

次に入院ベッドの役割について触れていきます。大きく役割の分かれる”病床区分”と病床機能分化”の2点の表現を用いて説明していきます。

 

病床区分とは?

まず、「病床=入院ベッド」のことを指します。

ここからは、入院ベッドを有する病院及び有床診療所についてになります。

では、病床区分について触れていきます。

こちらの話題も同様に医療法に規定されている内容になります。

日本では、入院可能なベッドにそれぞれ役割を持たせられています。それが以下に挙げる5種類です。

○一般病床

○療養病床

○精神病床

感染症病床

結核病床

上記5種類の大別があります。それぞれの役割を持たせた入院ベッドを用意することで地域ごとで提供できる医療の偏りをなくすことを想定されています。そのため、都道府県ごとに設置すべき入院ベッド数を病床区分ごとに定める計画を作成しています。

 

それぞれの病床区分の説明ですが、

○一般病床・・・

主に救急治療を提供し、病態の回復につとめる病床になります。

○療養病床・・・

病態の回復がそれ以上困難で安定はしているが、慢性疾患など長期的な医学的管理が必要な入院患者に対して、長期的な療養を提供する病床になります。

○精神病床・・・

精神疾患を患う患者に対して、入院加療を行う病床になります。

感染症病床・・・

国で定められた特定の感染症に罹患した患者に対し、入院加療を行う病床になります。

結核病床・・・

名称の通り、結核患者に対する入院加療を行う病床になります。

上記が病床区分の5種類になりますが、なぜ結核だけ一つの病床区分なのか?、感染症病床では何の感染症をみているのか?気になるかと思いますが、その点について他の記事でまとめていきます。

 

病床機能分化とは?

次にさらに現在の医療制度では、病床機能が分かれるようになっています。

これは医療機関の運営に関わる"診療報酬"で規定される"施設基準"によって分けられています。

また、都道府県ごとの病床数の設置ではなく、二次医療圏ごとの設置が決められています。

二次医療圏が何か?についてはまた別の記事でまとめますが、簡単に言えば、東京都であれば○○○区から○○区までの範囲といったように都道府県単位よりもさらに狭い範囲を指して使われます。

 

では、さらに細分化される病床機能とは何か?

前述の"一般病床"では、救急治療を行う病床と説明しましたが、救急治療行う病床の一つが病院ごとに役割をさらに分けれています。以下の例を参照ください。

例)

一般病床 →高度急性期病床(3次救急)

  |━━━━→一般急性期(2次救急)

上記のように一般病床で取り扱う救急病床も救命最優先のの3次救急なのか、一般治療範囲の2次救急なのかで役割が分けられています。さらに、回復期リハビリテーション病床、地域包括ケア病床など様々な病床が施設基準を設けられ、作られるようになってきています。基本的に療養病床以外は施設基準の範囲内で定められた”在院日数”に応じて入院期間が設けられており、その点が長期入院ができない理由となっています。

入院の期限などについては、別の記事で触れていきます。

 

 

まとめ

現在の医療制度は入院ベッドそれぞれに様々な役割を与えられ、診療報酬上で決められた範囲の医療や入院期間を提供される仕組みになっています。患者さんの状態や家族の負担など様々な情報を多角的に整理して、療養を続ける医療機関を探す必要がある状況になっています。

これからも医療制度の複雑な仕組みについてまとめていきます。分かりづらく、まとまりがないと思いますが、ここまでお読みいただきありがとうございました。