シロのブログ

普段仕事で扱う医療・福祉制度の情報からあまり関係のない気になっていることや悩みについてなど適当に発信していきます。

医療機関の種類とは?〜病院・診療所、クリニック、医院の違い、病床機能・役割分担について〜

はじめに

みなさんは具合が悪くなれば、お近くの医療機関に受診されることがあるかと思います。

では、医療機関と言っても病院や診療所には何の違いがあるのか?今回はその点を見ていきます。

 

《目次》

 

病院と診療所の違いは?

この2つの施設の違いは、医療法で規定されています。

簡単に言えば、以下の通りです。

○病院とは・・・

20床以上の入院ベッドを有する医療機関のことを指します。

○診療所とは・・・

入院ベッドを持たないor19床以下の入院ベッドを有する医療機関を指します。

上記のように入院可能なベッド数によって名称が異なります。診療所だからと言って、入院ができないわけではなく、入院ができる診療所もあります。

まぁ、入院ベッドがある診療所は少ないですが...

ちなみに、19床未満の入院ベッドを有する診療所を"有床診療所"

入院ベッドを持たない診療所を"無床診療所"と定義されています。

 

 

診療所と医院、クリニックに違いはあるのか?

前項で、病院と診療所の違いは法律で規定されていることは分かりましたが、よく"○○診療所"や"○○クリニック"、"○○医院"と言ったお住まいの馴染みの医療機関を見かけることがあると思いますが、それには違いがあるのか?について触れていきます。

 

まず前提として、また医療法上ではありますが、病院も診療所も"紛らわしい名称を用いてはならない"と規定されています。

つまり、病院は診療所と名乗ってはいけないし、診療所も病院とは名乗っていけないと言うことです。

 

上述の前提から結論を述べると、ベッドの数以外での違いはありません。

"○○診療所"や"○○クリニック"、"○○医院"と言った名称であっても、ベッドの数が20床を越えれば"病院"になります。しかし、診療所だけは病院規模のベッド数を持てば"診療所"と名乗ることはできず、"病院"に改称する必要がでてきます(紛らわしい名称を使用してはならない為)。

イメージ的に上述の3つは診療所のイメージがある方が多いと思いますが、名称だけで判別することはできません。

例えば、"順天堂大学医学部附属順天堂医院"は"医院"と言った名称を使用しているけれど、1000床を超えるベッド数を有する大病院です。このことから、名称に限らずベッド数に応じて、病院なのか?診療所なのか?が分けられていることが分かるかと思います。

では、"診療所"、"クリニック"、"医院"と言ったようになぜ名称が複数存在するのか?それは、各々の言葉の語源を調べる必要があります。今回はそれぞれの言葉の語源については割愛します。

 

入院ベッドの役割分担について

次に入院ベッドの役割について触れていきます。大きく役割の分かれる”病床区分”と病床機能分化”の2点の表現を用いて説明していきます。

 

病床区分とは?

まず、「病床=入院ベッド」のことを指します。

ここからは、入院ベッドを有する病院及び有床診療所についてになります。

では、病床区分について触れていきます。

こちらの話題も同様に医療法に規定されている内容になります。

日本では、入院可能なベッドにそれぞれ役割を持たせられています。それが以下に挙げる5種類です。

○一般病床

○療養病床

○精神病床

感染症病床

結核病床

上記5種類の大別があります。それぞれの役割を持たせた入院ベッドを用意することで地域ごとで提供できる医療の偏りをなくすことを想定されています。そのため、都道府県ごとに設置すべき入院ベッド数を病床区分ごとに定める計画を作成しています。

 

それぞれの病床区分の説明ですが、

○一般病床・・・

主に救急治療を提供し、病態の回復につとめる病床になります。

○療養病床・・・

病態の回復がそれ以上困難で安定はしているが、慢性疾患など長期的な医学的管理が必要な入院患者に対して、長期的な療養を提供する病床になります。

○精神病床・・・

精神疾患を患う患者に対して、入院加療を行う病床になります。

感染症病床・・・

国で定められた特定の感染症に罹患した患者に対し、入院加療を行う病床になります。

結核病床・・・

名称の通り、結核患者に対する入院加療を行う病床になります。

上記が病床区分の5種類になりますが、なぜ結核だけ一つの病床区分なのか?、感染症病床では何の感染症をみているのか?気になるかと思いますが、その点について他の記事でまとめていきます。

 

病床機能分化とは?

次にさらに現在の医療制度では、病床機能が分かれるようになっています。

これは医療機関の運営に関わる"診療報酬"で規定される"施設基準"によって分けられています。

また、都道府県ごとの病床数の設置ではなく、二次医療圏ごとの設置が決められています。

二次医療圏が何か?についてはまた別の記事でまとめますが、簡単に言えば、東京都であれば○○○区から○○区までの範囲といったように都道府県単位よりもさらに狭い範囲を指して使われます。

 

では、さらに細分化される病床機能とは何か?

前述の"一般病床"では、救急治療を行う病床と説明しましたが、救急治療行う病床の一つが病院ごとに役割をさらに分けれています。以下の例を参照ください。

例)

一般病床 →高度急性期病床(3次救急)

  |━━━━→一般急性期(2次救急)

上記のように一般病床で取り扱う救急病床も救命最優先のの3次救急なのか、一般治療範囲の2次救急なのかで役割が分けられています。さらに、回復期リハビリテーション病床、地域包括ケア病床など様々な病床が施設基準を設けられ、作られるようになってきています。基本的に療養病床以外は施設基準の範囲内で定められた”在院日数”に応じて入院期間が設けられており、その点が長期入院ができない理由となっています。

入院の期限などについては、別の記事で触れていきます。

 

 

まとめ

現在の医療制度は入院ベッドそれぞれに様々な役割を与えられ、診療報酬上で決められた範囲の医療や入院期間を提供される仕組みになっています。患者さんの状態や家族の負担など様々な情報を多角的に整理して、療養を続ける医療機関を探す必要がある状況になっています。

これからも医療制度の複雑な仕組みについてまとめていきます。分かりづらく、まとまりがないと思いますが、ここまでお読みいただきありがとうございました。

入院すると費用ってどのくらいかかるのか?〜高額療養費・限度額適用認定証について〜

はじめに

みなさんは、入院費用が月々どの程度かかるか知っていますか?

今回は入院費用の大まかな内訳や負担を抑える方法、利用できる制度について解説していきます。

 

【目次】

 

保険証の意味・・・

入院費用について話していく前に多くの人がお手元に持っている保険証について触れていきます。

保険証とは、病気や怪我などで治療を受ける必要がある状態になった時に費用負担を安価に抑えて、医療を受けられるように国民に加入を義務付けている社会保険制度の一つです(表1 社会保険制度 参照)。いわゆる国民皆保険制度というもので義務付けられています。

社会保険制度については別の記事で書いていきます。

(表1 社会保険制度)

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保険証には1割〜3割といったように、保険が適用になる治療に対する費用負担の割合がその人(加入している国民)の条件によって定められています。この負担割合については概ね年齢で区別されています。また所得によっても負担割合が異なる場合があります(表2 保険証負担割合表 参照)。

(表2 保険証負担割合表)

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保険証を医療機関の窓口に提示することで3割負担や1割負担になるとはどういうことか?・・・

では、保険が適用になるとはどういうことなのか?保険が適用になると費用負担にどのような影響が出ているのか?見ていきます。

医療機関にかかった際の保険診療分の考え方】

保険証の負担割合によって請求額(窓口負担)が異なります。

極端な例ですが下図のように、体調が悪いので近くの診療所(クリニック)にかかったとします。

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みんさんがこうして診療所や病院にかかると必ず窓口でお会計が発生します。

例えば、この時3割負担の保険証を持っていたとします。その時の窓口負担は900円でした。

この時の保険が適用になった効果とは何か?というと、

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上記図のように実際の金額は3,000円でしたが、保険証を窓口に提示したことで、その内の3割である900円の窓口負担になったということになります。

では残りの7割はだれが払っているのか?

それについては詳細を別の記事で説明できればと思っていますが、簡単に言えば、いつもみなさんが保険料を納めている保険者が医療機関へ直接払っています。保険者とは国民健康保険であれば市区町村、会社勤めであれば健康保険組合などみなさんが加入する保険によって異なりますが、役割は同じになります。

この仕組みは1割負担の方であっても同じです。保険証が1割負担であれば、窓口負担は300円。残り9割分である2700円は保険者が支払っています。

あまり医療機関にかかる機会のない方からしたら、これまで納めた保険料がここで始めて役立つ形になるわけです。

以上が保険証を提示する意味やその役割になります。 

 

入院費用の内訳について

上述したように保険証を提示することで医療費が安くなっている仕組みについて触れていきました。

ここから本題ですが、では入院の場合はどうなるのか?

入院費用を大まかな項目でわけると以下の通りです。

保険診療

②食事代

③リース代

④オムツ代

⑤差額ベッド代

大きく分けると上記のような項目にわけることができます。

上記以外にもかかる費用はあります。

例えば、保険のきかない自由診療分、病の院売店などで購入した物品分などあります。今回は一般的に発生する項目についてみていきます。

 

保険診療分とは・・・

医療機関が提供する医療行為には、国で定められた診療報酬という基準に従い1点=10円と点数がつけられています。

例えば、○○○○手術=1300点=13,000円

この1300点=13,000円が10割負担の金額になります。その為、保険証の負担割合に応じて請求額も異なります。

医療機関の窓口で保険証を提示することで、以下のようになります。

例)3割負担の場合:1300点=13000円⇨3割 3900円

例)1割負担の場合:1300点=13000円⇨1割 1300円

こうした保険診療分の請求は行った医療行為に応じて請求が増えていきます。

また、入院に関しては入院していること自体に1日○○○○点というように診療報酬上の点数が発生します。これを"入院基本料"と言います。

そのため入院すると概ね、

入院日数×入院基本料(診療報酬基準の点数)+入院中に行った全ての医療行為(診療報酬基準の点数)が発生します。

例えば、3割負担の方の場合の保険診療分だけでも、1ヶ月入院すれば、

例)入院基本料1300点/日であれば、1,300点の3割負担=3900円×31日=12万900円

といったように約13円/月はかかります。

 

②食事代とは・・・

こちらも"食事療養費"として一律に金額が設定されています。

・一般の住民税課税世帯の場合     :460円/食

・住民税非課税世帯(少し収入ある世帯):210円/食

・住民税非課税世帯(収入の少ない世帯):100円/食

上記の金額に対して、提供された食事の回数をかけて請求金額が決まります。

460円の区分で1カ月入院した場合:

例)460円/食×3食/日×31日=42,780円/月

という計算になり、1カ月で約4万3000円もかかります。 

 

③リース代とは・・・

病衣など病院で提供しているパジャマやタオルなどが該当します。だいたいの医療機関では1日○○○円といった形で提供されています。

自分で持ち込めば費用は発生しませんが、洗濯などの手間が発生します。また、医療機関によっては一律でリースを強制しているところもあります。

例)600円/日×31日=18,600円/月

 

④オムツ代とは

ベッド上で寝たきりとなった場合、オムツによる排泄を余儀なくされることがあります。その場合、オムツは使用した分だけ費用が発生します。オムツも近くのドラッグストアなどで安価に購入できるものを持ち込むのも1つ手ではありますが、ほとんどの医療機関が自医療機関で指定しているオムツ以外の持ち込みを禁止しています。どうしても必要経費としてかかってくる項目の1つになります。

 

⑤差額ベッド代とは

入院する部屋によっては、1日○○○○円といったように別途部屋そのものに金額が発生するものがあります。

高額なところだと、3万円/日なんて部屋もありますが、基本的に希望しなければ発生しないことになっています。また大部屋であれば、そもそも差額ベッド代はかかりません。しかし、緊急で入院が必要になった時に、

病院側から「個室しか空いていないが、ベッド代がかかります。希望しますか?」と聞かれることがあり、

「希望しない」と答えると受け入れしてくれる他の医療機関を探してもらうことになり、場所も問わず、少し離れた場所に入院する可能性もあります。

この点については、自分の病状や収入、周りの家族などのことも考慮して検討することが望ましいですが、具合が悪いときにそんなことまで頭回りませんけどね.....

3割負担の方が限度額適用認定証など利用せず、そのまま入院費用が発生する場合

 ではここまで大きな項目でみていきましたが、実際に1カ月の負担を合計すると、

保険診療分(入院基本料 1300点の場合):12万900円/月

②食事代(460円/食の場合):42,780円/月

③リース代(600円/日の場合):18,600円/月

④オムツ代(すごい使用したとして):30,000円/月

⑤差額ベッド代(今回は大部屋に入院とした場合):なし

⇒①+②+③+④+⑤=21万2280円/月となります。

ちょっと多めに見積もった計算なので高いですが、オムツ代を抜いたとしても、約17万円はかかる見積もりです。

 

次の項目でかかりすぎた医療費が戻ってくる”高額療養費制度”と窓口の負担を抑えることができる”限度額適用認定証”について説明していきます。ちなみに上記では3割負担の方について触れましたが、1~2割負担の70歳以上の高齢者の場合は①保険診療分に月の負担上限が設定されており、上述したような請求は発生しません。少し安い費用負担になります。 

1割or2割負担の70歳以上の高齢者の方の1カ月の入院費用について

保険診療分:57,600円/月(上限)

②食事代  :42,780円/月(460/食円に変わりはなし)

③リース代 :18,600円/月(600円/日の場合)

④オムツ代 :30,000円/月(かなり使用した場合)

⑤差額ベッド代:なし(大部屋の場合)

以上で計算すると、合計は 148,980円/月(約15万円/月)になります。

70歳以上で1~2割負担の保険証の方は面倒な手続きをしなくても、保険証を窓口に出すだけでも費用は安くなるような仕組みになっています。しかし、住民税非課税世帯の方はさらに費用を抑えることができます。その点についても次の項目で説明します。

 

それでは次の項目に進みます。

 

高額療養費と限度額適用認定証について

高額療養費制度とは・・・ 

高額療養費制度とは、簡単に言えば、前の項目で出てきた保険診療の請求額が高額になった際に払いすぎと判断された分を数カ月後に保険者から返金される仕組みのことです。

払いすぎの判断については、みなさんの収入に応じて①保険診療分の負担額の上限が設定されており、それに応じて判断されます。

上限額の設定については、次の”限度額適用認定証”の中で触れていきます。

限度額適用認定証とは・・・

限度額認定証とは、保険診療についてその人の収入に応じた月々の負担上限額までの請求に抑える保険証をもう一枚発行してもらい、窓口負担を減らす仕組みのことです。

前述した”高額療養費制度”だと後から戻ってくる方式でしたが、”限度額適用認定証”は最初から費用負担を抑える制度になります。

※上限額の設定については以下の通りです。70歳未満・70歳以上で異なります。

《70歳未満の自己負担限度額計算式》 

区分ア~オの5段階に分かれています。以下の通りです。

①区分(ア)上位所得者(標準報酬月額83万円以上(国民健康保険では、基礎控除後の総所得が90万円以上)の世帯)

=上限額:25万2600円+(総医療費ー84万2000円)×1%

②区分(イ)上位所得者(標準報酬月額53~79万円(国民健康保険では、基礎控除後の総所得が600~901万円)の世帯)

=上限額:16万7400円+(総医療費ー55万5800円)×1%

③区分(ウ)一般所得者(標準報酬月額28~50万円(国民健康保険では、基礎控除後の総所得が210~600万円)の世帯)

=上限額:80,100円+(総医療費ー26万7000円)×1%

④区分(エ)一般所得者(標準報酬月額26万円(国民健康保険では、基礎控除後の総所得が210万円)以下の世帯

=上限額:5万7600円

⑤区分(オ)住民税非課税世帯(①~④に該当しない方)

=上限額:3万5400円(※食事代も減額し、210円/日になります。)

 

《70歳以上の自己負担限度額について》

 

70歳以上の方は入院費用だけでなく、外来窓口負担も別で上限額が設定されます。こちらも5段階に分かれています。以下の表の通りです。

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このように複雑に分かれていますが、まずは自分がどの区分に位置しているのかを確認する必要がありますが、なかなか計算の仕方も分からないものだと思います。

そういった場合は、まず対象になるのか自分が加入する保険の保険者へ問い合わせをしてみましょう。問い合わせすることで教えてくれます。

保険者が分からない方は保険証の下の欄を見てみましょう。そこに保険者(市区町村名や保険組合など)の名称が記載されています。また会社勤めの方は会社の総務課など窓口になっている部署や上司に質問することもおすすめです。

 

《安くなる食事代について》

 ②食事代も上記の限度額適用認定証の中のある区分に該当されている方はその限度額適用認定証を入院している医療機関の窓口へ提出されることで食事代が安くなります。

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上記の表の赤枠で囲われた区分が食事代減額の区分になります。

簡単に言うと、住民税非課税世帯の方が安くなります。

 

それぞれの限度額適用認定証にに合わせた入院費用の概算の計算方法は?

保険診療分 ・・・○○○○○円/月(限度額認定証の区分上限額)

②食事代   ・・・○○○○○円/月

(限度額認定証の区分による1日に食事代に基づき計算)

③リース代  ・・・○○○○○円/月(医療機関ごとのレンタル代を確認)

④オムツ代  ・・・○○○○○円/月(使用量に応じて異なる)

⑤差額ベッド代・・・○○○○○○円/月

医療機関ごとの1日の金額に基づき計算)

⇒合計:○○○○○○円/月(=①+②+③+④+⑤)

上記のように計算します。

 

 

まとめ

入院すると費用が心配になるところだと思いますが、予め申請をしておけば安く抑えることができる制度もあります。しかし、急な入院になった場合、そんなことしている余裕はないと思いますので、その場合は病院の職員に相談してみることをお勧めします。それでも知識として知っている分には役に立つものではあるので、ぜひ参考にしてください。少しわかりづらくなってしまいましたが、今後も加筆・修正していきますので、ここまでお読みいただきありがとうございました。

介護保険ってどんなもの?〜概要や申請、利用手順など解説〜

はじめに・・・

介護保険について調べようと思われる方は、今現在利用したいと思われている方であったり、学生の方など資格を取る為に勉強されている方が調べられるのかと思います。なるべく介護保険について分かりやすくまとめていきますので、お付き合いください。 

 

 【目次】 

 介護保険とは・・・

 

 2000(平成12)年に施行された介護保険法を根拠とする社会保険制度の中の1つです(表1参照)。社会保険制度についてはまた別途記事を作成いたしますが、簡単に言えば、国民が何かしらの困りごとを抱えた際に保障してくれる国が運営する保険です。

 [表1 社会保険]

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上記の表から介護保険の場合、「国民の困りごと = 介護が必要」

この「介護が必要」という困りごとを解決する為に介護保険を利用することで、ヘルパーなどの介護サービスや介護施設への入所が1割~3割負担といった費用負担で安く利用することができるようになる制度となっています。

 

介護保険によって利用できるサービスについて・・・

 介護保険サービスは大別すると、①居宅サービス、②施設サービスの2つに分けられます。また、「①居宅サービス」も”訪問サービス”、”通所サービス”、”宿泊サービス”の3つに分けられるようになっています(表2参照)。

[表2 介護保険サービス種類]

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※上記のサービス以外に福祉用具車いす、介護用ベッド等)のレンタル・購入費用の助成・住宅改修費の助成があります。 

 

では、具体的なサービスについてみていきます。

【居宅サービス】

 ①訪問介護ホームヘルプサービス)   

ヘルパーに自宅を訪問してもらい、介護や家事のお手伝いなど援助を受けられます。

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②訪問入浴介護

自宅に浴槽を持ち込み、看護師・介護士から入浴の介助を受けられます。

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 ③訪問リハビリテーション

リハビリの専門職であるPT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)に自宅を訪問してもらい、自宅でリハビリを受けることができます。

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④居宅療養管理指導

医師、歯科医師、薬剤師、歯科衛生士などに訪問してもらい、お薬の飲み方や食事を摂る際の注意点、自宅療養する際のアドバイスを受けることができます。

いわゆる、お医者さんがご自宅に来てくれる訪問診療がこのサービスにあたります。

訪問看護

看護師に自宅を訪問してもらい点滴や注射などの医療行為をしてもらうことができます。また別途加算というかたちで費用負担がありますが、24時間電話相談や時間帯問わず訪問を依頼することもできます。

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通所介護(デイサービス)

通所介護を行う施設へ送迎の車にて通い、介護や食事、入浴、レクリエーションなどが日帰りで受けられます。

概ね7~8時間/日程度の利用が可能で、施設によっては3~4時間対応など利用時間の調節も可能でもあります。

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⑦通所リハビリテーションデイケア

介護老人保健施設や病院、診療所などリハビリの専門職であるPT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)がいる施設へ上記のデイサービスと同じ要領で通い、主にリハビリをメインで受けることができます。

デイサービスとの違いは、デイサービスがレクリエーションをメイン。デイケアリがリハビリをメインとし、それ以外は食事、入浴などの介護は同様に受けることができます。

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⑧短期入所生活介護ショートステイ

デイサービスが日帰りだったのに対し、ショートステイ介護施設へ短期間入所し、食事や入浴などの介護を受けることができます。

⑨短期入所療養介護(医療型ショートステイ

通常ショートステイ時に利用される施設は特別養護老人ホームなど医師の常駐しない施設に入所しますが、医療型ショートステイの場合は介護老人保健施設や介護医療院など医師が常駐する介護施設へ短期間入所し、介護だけでなく痰の吸引などの医療処置も受けることができます。

つまり、

介護がメインの方 ⇒ ショートステイ

介護だけでなく医療処置もある方 ⇒ 医療型ショートステイ

といったように利用者の状況により短期入所先を選定する必要があります。

【施設サービス】

介護老人福祉施設特別養護老人ホーム

要介護3以上(後ほど説明する介護度)で常時の介護を要する方が申し込みし、入所枠が空けば終の棲家として、最期まで過ごすことができる介護施設です。

しかし他の施設に比べ、比較的安価なため、待機者が多くいます。その為、待機期間は年単位に及ぶこともあります。

ちなみに、呼び方が2つあるのは根拠とする法律の違いがある為です。

・介護老人保健施設(法律:介護保険法)

特別養護老人ホーム(法律:老人福祉法)

②介護老人保健施設

病状が安定しているが、リハビリを行って体力回復が必要な方を対象に概ね3カ月間の入所期限を基に介護・リハビリ・看護を提供、自宅復帰を目指す介護施設です。上記の特別養護老人ホームとは違い医師・看護師・リハビリ専門職などが常駐しています。

介護療養型医療施設

簡単に言えば、イメージとしては介護保険で入院する病院です。現在は介護報酬の改定で新しく作ることができず、最終的には令和6年3月末に廃止が予定されている施設です。

④介護医療院

上記の介護療養型医療施設の転換先として平成30年に新設された介護施設です。こちらも介護が必要な方が介護保険を使用して入院する病院といったイメージの方が想像しやすいかと思います。

以上が介護保険により利用できるサービスの概略になります、施設などの利用方法、費用負担などはまた別の記事で触れていきたいと思います。

 

介護保険の利用ができる人(対象者)はどんな人?・・・

 介護保険が利用可能な方は2通りあります。

①65歳以上・・・制限がなく、どなたでも利用が可能です。

②40歳~64歳の方・・・特定の疾患がある方のみが利用可能です。

65歳以上の方については深く考えなくても良いのですが、②40歳~64歳の方が利用する場合は利用を検討されてい方のご病気の確認が必要になります。

ではなぜ?このように違いが生まれるのかについて説明します。

介護保険は通常の保険と同じように、保険者(市区町村)がいて保険料を納める被保険者(国民)が加入している保険です。加入は40歳以上の国民が対象になっています。その為、40歳の誕生日を迎えると介護保険へ加入することになり、保険料の納付も始まります。通常は介護保険の目的として、高齢になった際に必要になる介護という問題に備える為、必要な介護を安価な費用で受けることを前提にして準備されている保険です。

ここで定義される高齢とは65歳以上を指し、65歳以上且つ介護が必要な方がまず対象になります。しかし、保険料を納め始めるのは40歳からであり、40歳~64歳の方であっても何かしらの病気により介護が必要になる方も当然いらっしゃいます。そうした方が介護を必要とした場合、保険料納めているのにも関わらず、高齢ではないので介護保険を利用できないといった話になってしまいます。そうならない為に一定の要件を設けて利用できるようにしているのが特定の病気を抱える40歳~64歳の方といった定義になっています。

つまり介護保険の利用が可能な方は以下の通りです。

①第1号被保険者(65歳以上の方)

②第2号被保険者(40~64歳且つ特定の疾患を抱えている方)

(第2号被保険者の特定の疾患=該当疾病)

 ●関節リウマチ ●筋萎縮性側索硬化症 ●後縦靭帯骨化症

 ●骨折を伴う骨粗鬆症 ●初老期における認知症

 ●進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病

 ●脊髄小脳変性症 ●脊柱管狭窄症 ●早老症 ●多系統萎縮症

 ●糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症

 ●脳血管疾患 ●閉塞性動脈硬化症 ●慢性閉塞性肺疾患

 ●両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 上記の状態ある且つそれぞれ定義された症状の度合い(基準)があり、それに該当して初めて、利用が可能になります。詳しい基準については、また別の記事で触れていきます。

 

介護保険の申請~利用手順は・・・ 

◇申請方法

 1.窓口:”市区町村の介護保険課”又は

      ”担当地区の地域包括支援センター

 2.申請手順:

  手順①窓口へ行き、申請用紙を記入する

     必要な物:65歳以上の方・・・介護保険証(なくても可能)

          40~64歳の方・・・健康保険証

     申請用紙の記入:

(申請者の氏名・対象者の氏名・かかりつけ医の医療機関名及び氏名・認定調査の立ち合いの有無・調査時に立ち会う方の連絡先など記入事項があります。)

  手順②認定調査を受ける

(役所の介護保険課の方等が調査員として対象者の方の現在の状態を確認する為に、自宅又は病院・施設へ訪問調査を行います。)

  手順③主治医意見書を提出

(直接対象者・申請者には関係がありませんが、介護保険の利用にあたりかかりつのお医者さんから現在の病状や動作能力・制限などを記入する書類の提出が必要になります。かかりつけのお医者さんに予め介護保険利用の為の書類作成のお願いはしておいた方が良いです。)

  手順④介護保険の結果を待つ

介護保険の結果は、”手順②認定調査”と”手順③主治医意見書”の2つがそろってから役所内で行われる”審査会”という介護保険の結果を決める会議が開かれます。その結果が郵送で自宅のポストへ届く流れになっています。)

 

上記の手順を踏んでいくために、申請から結果が自宅に届くまでで、概ね1カ月程度の時間がかかります。

 

◇利用開始までの流れ

上述の申請が済むと介護保険被保険者証が自宅ポストと投函されます。

その結果に基づき、手続きを踏むことで前項で説明した介護保険サービスを利用することができます。

 

1.結果について

介護保険は要介護度といった結果がつき、それに基づきサービス利用料が決められます。

要介護度は以下の通りです。下に進むほど、介護を要する状態が重くなります。

非該当・・・介護を受ける必要はないと判断された区分

      この区分では介護保険サービスは利用できません。

要支援1・・・ご自身である程度のことはできるが、第三者の見守りが必要な程度

要支援2・・・身の回りのことは可能であるが、荷物を持ってもらうなど体の動作以外で介助が必要な程度

要介護1・・・要支援2に近い状態ではあるが、さらに物忘れなど認知機能にわずかに困難がみられる程度

要介護2・・・身の回りの食事や排せつ、歩行などに介助が必要な程度

要介護3・・・車いすを利用するなど介助者がいても自身での歩行が困難な程度

要介護4・・・要介護3に近い状態で、物事に対する理解が低下している程度

要介護5・・・ベッド上から離れることができず、物事を理解する力も極端に低下し、何かをすること・決めることのすべてに介助を要する程度

 

上記の介護度の結果をもってサービスを利用していきます。

しかし、サービスを利用する為にまだ段階があります。

2.利用までの手順

 手順①ケアプランの作成

介護保険サービスを利用するためには、いつ?どんなサービスを利用するかの計画を立てる必要があります。その計画を立てて初めて介護保険サービスが利用可能になります。その計画(ケアプラン)を立てる為には・・・)

 手順②担当ケアマネージャーを決める

(ケアプランを立てることができる方のことを”ケアマネージャー”と言います。ケアマネージャーは申請者のお知り合いの方にいらっしゃれば、その方にお願いしても良いです。しかし、多くの方が心当たりがないと思われるので、役所の窓口や最寄りの地域包括支援センターにケアマネージャーの紹介・案内をしてもらうことをお勧めします。)

 手順③担当ケアマネージャーとケアプランを考える

 手順④ケアプランに沿った介護保険サービス利用を開始する

上記の手順で、介護保険サービスの利用が開始されます。

 

 

まとめ

今回は介護保険に関する説明を簡易的に行いました。聞きなれない用語など多く、分かりづらいと思われますので、今後の修正・別記事作成などを行い、分かりやすい内容を作成出来るように心がけていきます。

介護保険自治体によっても対応が異なっている等、一概に申請や利用までの流れが一緒とは言い切れない部分があります。

分からないことがあれば、積極的に自治体の介護保険課へ問い合わせの連絡又はホームページをご覧になることが良いと思います。

一人ひとり、介護保険について調べ、利用したいと思う人の理由や立場は異なると思うので、ご自分に合ったものが見つかるよう今後も情報を発信して参りますので、よろしくお願いします。

長々と記載した為、まとまりがなくなっていると思いますが、ここまでお読みくださりありがとうございました。